



陶という静的な素材に、横山玄太郎は「動き」を吹き込む。
驚きに満ちたフォルムと、今にも動き出しそうな佇まい。それらは工芸の枠を軽やかに超え、まるで作品自らが意思を持って躍動しているかのような感覚を観る者に与える。
本展「POWER OF GEN」は、その名の通り、横山玄太郎の内側に宿る「エネルギーの源」を体現する展示である。 先行きが見通せず、閉塞感が漂う現代社会において、私たちは無意識のうちに感情を抑制し、合理性や効率を求めがちである。しかし、横山の生み出す動きのある造形、鮮烈な色彩、そして予定調和を裏切る意外性は、凝り固まった私たちの思考を揺さぶり、忘れかけていた「驚き」や「高揚感」を呼び覚ます。これこそが、今まさに必要とされる「POWER OF GEN」である。
展示の中心となるのは、近年横山が探究している「青」と「金」の釉薬、そして「玉」のモチーフを施した作品群だ。 深く沈み込むような青と、希望の光を宿す金。混沌とした世界の中で確かな軸となるこれらの色彩は、自身が“自らの色”として探究し続ける本展の象徴である。 さらに、あらゆる物質の起源である「原子」に着想を得た玉のモチーフは、細胞分裂のように連なり、広がりを見せる。個と個が分断されやすい現代において、すべては根源で繋がっていることを想起させるそのフォルムは、生物的な生命感と優しさをもって独自の存在感を放っている。
「POWER OF GEN」は、横山玄太郎の創造の源泉に触れ、誰かの日常にポジティブな変革をもたらすエネルギーを充填する場である。 エネルギーを宿した陶のかたちが、今の時代にどのように立ち上がるのか。その瞬間をぜひ会場で体感してほしい。
